Marlin latter part
カジキマグロがタイメックスの伝統である訳 【後編】
前回は2017年に復刻されたマーリンについて、その詳細をご紹介しました。後編の今回は、そのネーミングの由来を紐解いてみたいと思います。
マーリンというネーミングは、USタイムという社名であった1950年代に発売していた防塵、防水、耐衝撃性を備えた機械式時計シリーズのひとつとして初出しました。
当時自社で機械式ムーブメントを製造していたタイメックスは、アーマロイという合金をムーブメントの素材に使用。堅牢性とコスト削減を両立し、
比較的高価で防水性が一般的でなかった腕時計をデイリーに使えて誰もが購入できるものにしました。
・1950年代のマーリン
防水性や耐衝撃性に優れた時計をアピールするため、タイメックスは1950~60年代に大々的な全米キャンペーンを展開しました。新聞や雑誌以外にTVコマーシャルでも時計を過酷な状況下に置き、 その堅牢性を強調したTorture Test(拷問テスト)と呼ばれる一連の広告はインパクトがあり、そのいくつかは現在もYouTubeなどで見ることができます。こうしてタイメックスは全米No. 1ブランドへと躍り出ました。
・ルイ・アームストロングも出演したタイメックス「拷問テスト」コマーシャル(外部リンク)
https://youtu.be/NevOXyKvSBQ
大海原を高速で泳ぐカジキマグロ、その英名であるマーリンは、こうしたスタイリッシュなシルエットに防水性や耐衝撃性を備えたウォッチを想起させるものとして商品名に取り入れられたのです。
その後、機械式時計を取り巻く環境が大きく変化しクォーツが台頭、タイメックスもその影響は免れずクォーツ時計へ主軸をシフトしたことは前回ご案内しました。その間もマーリンというシリーズ名は1970~90年代も使われ続けます。
・1970年代のマーリン
・1980年代のマーリン
・1990年代のマーリン
このようにマーリンは単なるシリーズ名であるだけでなく、タイメックスにとって防水性やスタイリングといった自社の伝統を表すものなのです。
カジキマグロ自体が時計に記されたことがあるのだろうか?と我々が調べた限りでは、1990年代のアナログとデジタルを備えたマーリン、品番T83111のストラップ部分に水面を跳ねるカジキマグロのシルエットが初めて採用されました。
そして今年、ついにこのカジキマグロがおよそ30年以上の時を経て再び姿を現します。すでに本国のインスタグラムなどでご覧になっているかもしれませんが、一番新しい「マーリン オートマチック」が4月20日(木)発売となります。
これまでにない、まったく新しいケースをこのモデルのために製作、裏蓋に飛び跳ねるマーリンの姿があしらわれています。
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