TIMEX公式オンラインストア 5,500円以上送料無料

Marlin first part

カジキマグロがタイメックスの伝統であるワケ【前編】

タイメックスの時計の名前になぜ海の魚であるカジキマグロ?と思いますよね。確かに、そのご説明が漏れていました。

タイメックスは1990年代初頭、それまで140年近く続けてきた自社製機械式ムーブメント製造をやめることとなりました。 それからおおよそ四半世紀が経った2017年、突如タイメックスから手巻きムーブメントを搭載したマーリンが発売され、著名な時計専門メディアであるホディンキーや腕時計ファンのブログ、SNSを中心に多くのマーリンの写真やレビュー記事などが掲載されました。

・ホディンキーの記事(本国版から翻訳された日本語版)
https://www.hodinkee.jp/articles/the-timex-marlin-i-wore-to-get-married

・2017年に発売された復刻マーリン
https://www.timexwatch.jp/c/collections/
marlin/TW2R47900


この時計が話題となった理由は、主に3つありました。

・およそ四半世紀ぶりにタイメックスが発売した手巻き式ムーブメント搭載モデルだった
・キャンパーやアイアンマンなどの有名カジュアルウォッチと相対を成す復刻モデルだった
・凝ったディテールでコストパフォーマンスが群を抜いていた


この復刻されたマーリン、事前に本国からは「1960年代のアーカイブをもとに、実直に復刻した。但し手巻きムーブメントは価格とクオリティのバランスが取れ、 最も現実的な社外メーカーのものを採用した」と説明を受けていました。

現代において手巻き式であれクォーツであれ自社でムーブメントを作ろうとすると莫大な資金が必要になるため、 タイメックスはモデルによりスイスのロンダ、日本のセイコーやシチズンなど社外メーカーからムーブメントを購入しています。

マーリンに採用したのは中国・シーガル社の手巻きムーブメントでした。あまり聞き覚えがないかもしれませんが、その歴史をたどると レマニアやバルジューとならぶスイスの名門ムーブメント製造会社であった、クロノグラフ用名機といわれるCal.175というムーブメントを作っていたヴィーナスに行きつきます。

・マーリンに内蔵されているムーブメント(社外リンク)
http://www.bobinchak.com/watchmaking/2017/
12/9/timex-marlin-thoughts-teardown


シーガル社は1960年代にヴィーナスからCal.175の製造機械を文字通り引き継いだ会社で、一方のヴィーナスは時計産業再編成の中で消滅してしまいます。 中国製と聞いて廉価でクオリティがあまり高くないと想像した人がいる一方、現在もCal.175の後継にあたる機種を製造するシーガル社のムーブメントを選択したことがマニアやメディアの心に刺さりました。

このマーリン、元ネタは1960年代初めに発売されていた同名モデル。日本をはじめウィークエンダーやキャンパーなどブランドを代表する人気モデルと違い、 どちらかというと正統派ないわゆる時計顔の新作でした。サイズはクラシックな34mm径で、リザード型押しのレザーストラップのあわせもカジュアルな印象のあるタイメックスとしては地味な印象でした。 しかし、海外TVシリーズの影響やファッションのレトロ回帰のような流れもあり概ね好意的に迎え入れられます。

・1960年代のマーリン

何より注目されたのは、現代風に解釈したり手を加えず、オリジナルに忠実なフォルムを再現した点です。例えば34mm径は38mm前後が主流な現在のトレンドに対して少し小振りで、 ドーム型のアクリル風防、縁の沈んだ文字盤などのディテールは高級時計やビンテージウォッチに見られる意匠。

その他にもストラップを保持するためのピンを設けるラグの内側に穴があけられますが、当時は外側からあけられた穴が見える仕様であったりといった往年のディテールも再現されました。

これらをいま再現しようとするとかなりコストが掛かるのと、手間もかかるのであえて取り組むメーカーは殆どありません。
大量生産でコストを削減しコストパフォーマンスに優れた製品を提供する、といういつものタイメックスと逆行するかのようなマーリンの発売は、こうした点でも意外性がありました。

―― 前編終了、後編は18日更新予定です。

現在登録されている商品はありません。
ページトップへ